「シニアなんて」が一変 「年齢の壁」越えるベテランエンジニアたち
転職市場で、ミドル・シニア世代のエンジニアの需要がじわりと高まっている。50代以上の転職には高い「壁」が立ちはだかっていたが、コロナ禍をきっかけに状況が変化。ベテランの「昔のスキル」が、システム改修で求められる状況も生まれているという。何が起きているのか。
「人手不足と言いつつ、企業はやっぱり若手がほしいのかな」
2024年の5月。NECでエンジニアとして働いていた男性(61)は、転職サイトの反応を見て落胆した。
2年前に同じ転職サイトを使った時は、年齢を非公開にしてのぞんだ。それなりにオファーはあったが、話が進んで年齢を伝えると、「いやちょっと……」と難色を示された。
今回の転職活動では、最初から年齢をオープンにした。すると転職エージェントから届くメールの件数は、前回と比べて5分の1ほどに減ったという。
石川県出身の男性は、新卒で北陸日本電気ソフトウェア(現NECソリューションイノベータ)に入社。エンジニアとして経験を積んだ後、親会社のNECへ出向し、メガバンクや証券会社のシステム開発に携わった。大幅に遅延した「炎上」プロジェクトの火消し役も経験。激務ではあったが、公共性が高く、クライアントからとても感謝される仕事に、達成感とやりがいを感じていた。
家庭の事情で一度NECグループを離れ、北陸の会社へ。23年に再び、59歳で契約社員としてNECに戻った。
この時の年収は770万円。待遇に不満はなかったが、職域はかつてのような現場の最前線から離れ、物足りなさを感じていた。「もっと現場でがんばりたい」と転職活動に踏み出したが、「年齢の壁」にぶちあたった。
突破口になったのは、ミドル…
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