演説で「全体主義」「反国家」連発、先鋭化する尹大統領 独自分析

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太田成美 日高奈緒 ソウル=貝瀬秋彦
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 韓国の憲法裁判所は4日、「非常戒厳」を出した尹錫悦(ユンソンニョル)大統領に対し罷免(ひめん)を宣告した。尹氏はなぜ、非常手段に踏み切るに至ったのか。大統領府のホームページに掲載されていた演説や弾劾(だんがい)審判での最終意見陳述の内容を読み解くと、徐々に先鋭化していった流れが見えてくる。

 朝日新聞は、尹氏が大統領に当選した2022年3月から今年2月までの643件の演説などを独自に分析した。尹氏の価値観や考え方を示す五つのキーワードが使われた時期と回数を調査した。

 尹氏が政治理念を語る際に最も目につくキーワードが「自由民主主義」という言葉だ。当選時からの約3年間で213回にわたって使っている。22年3月10日に当選者として臨んだ記者会見では4回言及し、「自由民主主義を脅かす時代遅れの理念を遠ざけ、国民の常識に基づいて国政を運営する」と述べた。

尹大統領の演説はどのように変化していったのか。記事後半では、専門家の分析を交えながら、インフォグラフィックでわかりやすくお伝えします。

 一方、「全体主義」という言…

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この記事を書いた人
太田成美
政治部|外務省担当
専門・関心分野
朝鮮半島情勢、日韓関係、ジェンダー
日高奈緒
コンテンツ編成本部ディレクター|ウェブ担当
専門・関心分野
データジャーナリズム、OSINT
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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2025年4月7日2時56分 投稿
    【解説】

    すでに指摘されていたことではあるが、ユン大統領は陰謀論にハマっていく人たちのパターンと同じような言動の軌跡をたどっている。大統領就任以来、孤立化する青瓦台を離れ、国防省にオフィスを移して、情報の風通しを良くしたはずだが、それでも結局、権力者

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韓国「非常戒厳」

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