「今は無いと心細い」自転車ヘルメット促進事業所 60以上 滋賀
自転車のヘルメット着用率が低いため、滋賀県警が取り組みを進めている。東近江署管内(東近江市、日野町、愛荘町)では、60以上の事業所を着用促進事業所に認定した。県内の高校生を対象に、着用推進を目指す「動画コンテスト」も実施中だ。
県内の自転車事故の件数は2023年が516件。504人の死傷者のうち、ヘルメットを着けていた人は86人で2割を下回った。この割合は近年、10%台で推移している。昨年4月1日施行の改正道路交通法でヘルメット着用が努力義務化されたが、従来とあまり変わらなかった。
着用促進事業所は、「自転車通勤の従業員のヘルメット購入を支援する」など五つの条件を満たした場合、東近江署が認定する。
この取り組みは、福田金属箔(はく)粉工業(本社・京都市山科区)が県警に問い合わせをしたことがきっかけで始まった。
同社は京都府警が実施している着用促進事業に協力し、県警に同様の取り組みが無いかを問い合わせた。同社の滋賀工場では、昨年4月にヘルメット着用が努力義務となったため、工場内で自転車に乗るときの着用を義務づけた。通勤やプライベートで乗るときの着用も従業員に勧めている。
工場長の今井克頼さん(59)は「宣言をする事業所が増え、交通安全の意識が高まるのは、非常にうれしい」と喜ぶ。
京セラの滋賀東近江工場(東近江市)は8月に着用促進事業所になった。工場内の各部門の従業員でつくる「交通安全委員会」があり、努力義務化以前から安全意識を高める取り組みを進めてきた。例えば、自転車通勤をする従業員は、損害保険に入らなければ駐輪場に止められるステッカーをもらえない。
自転車通勤をする更田(ふけた)智美さん(54)は「昨年4月からヘルメットをかぶるようになった。最初は近所の人にからかわれることもあったけど、今は無いと心細い」。総務1課の担当者は「車通勤の人も含め、従業員と家族に不幸な人を出さないこと、社外の人に絶対に迷惑をかけないこと、という目標達成に向け、交通安全に取り組みたい」と話す。
一方、県警は県教委などと一緒に「高校生自転車ヘルメット着用推進動画コンテスト」を実施中だ。11月22日まで「ヘルメットをかぶろう」と思わせるような15秒の動画を募集している。参加資格は県内の高校に通う生徒。最優秀作品はびわ湖放送で流れ、5万円の商品券を贈呈される。
県教委が県立の全高校を調べたところ、昨年6月、自転車通学の生徒のヘルメット着用率は1.6%だった。県教委保健体育課は「中学校では着用が義務づけられていることが多いが、高校では義務づけられていない。しかし、大人になる手前なので、自分の意思で命を守って欲しい。動画コンテストが、そのきっかけになれば」と期待している。
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