涙の一力少年は17年後に世界一になった 憧れの張栩から継いだもの

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北野新太
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 2007年の秋、一力遼という名の小学4年生は地元の仙台市で開催された囲碁名人戦第3局を見学した。

 憧れの棋士、張栩(ちょうう)が高尾紳路から名人位を奪還するシリーズだった。

 まだ棋士を目指して修業中の「院生」の立場。控室の片隅で遠慮がちにたたずんでいると、棋士たちが声を掛けてくれた。局面の検討に加えさせてもらったのだ。

 そして終局後、なんと対局室に入らせてもらう幸運にも恵まれた。

 いつも夢に描いている部屋に入ると、目の前に憧れの人がいた。

 勝利した張栩は美しい姿勢のまま感想戦に臨んでいる。

 棋士を志す契機になった雄姿を見つめ続けていると、なぜか涙があふれた。

 うれしくて笑顔になるのではなく。

 心が震えてどうしようもなく…

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この記事を書いた人
北野新太
文化部|囲碁将棋担当
専門・関心分野
囲碁将棋