第1回「影響は軽微」のはずが… トランプ関税が狂わせた日本企業の目算

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連載「閉じゆく世界 トランプ関税の衝撃」

トランプ米大統領の高関税政策が世界を大波乱に陥れています。超大国が内へと閉じていく中、世界はこのまま危機に向かうのか。人々の暮らしへの影響は。トランプ関税がもたらす衝撃を多角的に掘り下げます。

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40億円を投じて新工場できた矢先に…

 影響は軽微――。それはほんの2カ月前の判断だった。

 大手光学レンズメーカーのタムロンさいたま市)は、トランプ米大統領の関税政策の影響を今年2月時点で、こう評価していた。

 当初、トランプ氏の関税措置の矛先は、中国とメキシコカナダに向いているようだった。

 米中摩擦が高まった第1次トランプ政権以降、同社は、生産量の増加のほか、台湾有事や対中関税の引き上げといった「地政学リスク」も考え、米国に輸出する主要製品の生産を中国からベトナムに移してきた。その戦略は奏功したようにもみえた。

 今年1月、約40億円を投じてベトナムで2カ所目の新工場を稼働させた。日本、中国にならぶ「第3極」と位置付けたこの工場が2028年にフル稼働すれば、グループの生産能力は24年比で2割増える。そうなれば、ベトナムでの生産割合は45%に上がり、米国による対中関税リスクも下げることができる。

 だが、目算は狂った。

 トランプ米政権は5日に「相…

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    座安あきの
    (ジャーナリスト・コンサルタント)
    2025年4月9日19時21分 投稿
    【視点】

    容赦のないトランプ関税が目先のディールにとどまらず、世界の経済構造を根本から作り替える長期計画の始まりだとしたら、日本においても脆弱さを極めてきた産業基盤のつくり直しを本気で考えなければならないと痛感する。 先週、出張で沖縄から大阪・東京

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トランプ関税

トランプ関税

トランプ米大統領の高関税政策が衝撃をもたらしています。金融市場は動揺し、貿易摩擦は激しさを増しています。世界経済は危機に向かうのか。暮らしにどんな影響を与えるのか。最新ニュースをまとめてお伝えします。[もっと見る]