北陸新幹線「小浜・京都ルート」 京都駅新駅は3案を提示

西崎啓太朗 武井風花 日比野容子
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 北陸新幹線の敦賀―新大阪の延伸計画で、国土交通省は7日、「小浜・京都ルート」の駅の位置やルートの詳細案を公表した。京都府内で建設予定の京都駅新駅の位置は、JR京都駅の東西方向(大深度地下)▽同駅の南北方向(地下)▽JR京都線桂川駅付近(大深度地下)の3案を示した。

 東西案は京都駅南側に建設予定で工期は約28年。東海道新幹線の駅が近く、掘削工事の難易度が高いという。南北案は八条通を挟んだ京都駅南側で工事が行われ、完成まで約20年かかる。京都駅の在来線との乗り換え時間は11~13分という。

 桂川駅付近での建設案は、JR京都線が近く、掘削工事の難易度が高い。建設には約26年かかり、京都駅で在来線に乗り換えるためには、京都駅への移動も含めて約19分かかるという。

 小浜から京都市中心部までは山岳トンネルを通し、京都市中心部は地下水を引き込まないシールドトンネルで建設する。国交省側は「シールドトンネルによる地下水への影響は発生しないと考えている」と説明している。

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 府内からは様々な反応があった。

 西脇隆俊知事と京都市の松井孝治市長は、「引き続き、国や(鉄道・運輸)機構において、慎重な調査と丁寧な地元説明を行うとともに、地下水や建設発生土など施工上の課題や環境の保全について適切に対応していただく必要があると考えている」とそれぞれコメントした。

 市政与党会派の京都市議は「地震などの災害時の代替手段として北陸新幹線は必要。着工はしなければいけない」として、具体的な案が示されたことを評価する。

 一方、野党会派の京都府議は「果たして採算が合うのか。概算の事業費が判明する中、米原ルートなど様々なルートを排除すべきではない」と主張した。

 自民党の府議の一人も疑問を呈した。「なぜオーバーツーリズムの問題に直面している京都市内に駅を作ろうとしているのか、意味が分からない。事業費はかかりすぎで、詳細ルートがこのままであれば大失策」と批判する。

 京都市内では、地下水への影響を懸念する声が根強い。和菓子店「亀屋良長」(京都市下京区)の吉村良和社長(50)は、三つのルート案について「JR京都駅の二つの案は市内中心部を通るし、JR桂川駅のルート付近にも地下水を使う店がある」と指摘したうえで、「正直、他のルートにしてほしい」と話す。

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 JR桂川駅はJR京都駅から大阪方面に向かう在来線で2駅目にあり、乗車時間5~6分の距離にある。平日の午前11時~午後2時台に停車する列車の数は1時間あたり上下合わせて8本だ。

 桂川駅の開業は2008年。周辺はキリンビール京都工場の跡地の再開発が進み、14年には駅直結で京都府内最大級のイオンモールが開業した。子育て世代が市外に流出して人口減少に悩む京都市にあって、人口が大幅に増えている地域だ。

 駅周辺に住む自治会長の男性(85)は、「来たらいいなが半分で、本当に来たら大変だなが半分」と、期待と不安をのぞかせる。訪れる人が増えることで、生活環境の悪化が懸念されるという。

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この記事を書いた人
西崎啓太朗
ネットワーク報道本部|大阪駐在
専門・関心分野
移民、難民、宗教、災害、中東地域