かさむ治療費、仕事にも戻れず 性暴力の被害者が直面するお金の問題

有料記事子どもへの性暴力

塩入彩

 1回2万円。しかも、1回だけではなく、少なくとも数十回は通う必要がある。それでも、本当に回復できるかは約束できない――。

 都内に住む30代の女性は10年ほど前、性暴力による心的外傷後ストレス障害(PTSD)を治療しようと専門のクリニックを調べ、驚いた。気が遠くなるほど費用がかかることがわかったからだ。

 女性は9歳の時から数年間、きょうだいから性虐待を受けた。被害のことは、両親にも、誰にも話せなかった。

 男性を信用できなくなり、10代から20代にかけ、自傷行為のような交際を重ねた。そうした中で、知人からも性暴力を受けた。

 なんとか学校には通い、大学卒業後に就職した。しかし、入社後に上司からパワハラに近い対応を受け、自律神経を乱し、1年で退社。いま思うと、性暴力被害のトラウマも体調に影響を与えていたと感じている。

 女性は回復を模索しますが、適切な情報や医療機関になかなかたどり着けません。さらに直面したのが、治療費の問題でした。

フラッシュバックした被害の記憶

 27歳の頃、きょうだいの結婚により、被害の記憶がフラッシュバックした。

 うつが悪化し、原因を探ろう…

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この記事を書いた人
塩入彩
首都圏ニュースセンター|教育、武蔵野地区担当
専門・関心分野
ジェンダー、教育、性暴力、性教育