「自動車に乗るのはダサい」? 北欧の自転車環境、記者も乗って実感

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鈴木智之

 デンマークの首都、コペンハーゲンでは、たくさんの自転車が整然と走っている。

 500キロ以上もの自転車道やレーンなどが整備され、交差点には自転車専用の信号のほか、進行方向別の右折レーンや直進レーンまである。

 3月、自転車をレンタルし、通勤時間帯に市内を走り回った。

 まだ寒い時期だったが、どこもかしこも自転車だらけだ。市街地の交差点では、車のように自転車がずらっと並ぶ。

 市内での通勤・通学における自転車のシェアは45%に上るという。市は2012年に36%だったのを、25年に50%まで引き上げようと専用道や駐輪場の整備などの投資を続けているのだ。

 月曜日から水曜日の午前中、自転車の数は自動車の約2倍になるらしい。

 まず気づくことは、スピードが速いことだ。

 市の資料によると、推定平均速度は時速16.2キロ。日本の国土交通省のまとめでは、昼間の一般道における自動車の速度は東京23区で18.3キロ、大阪市で18.6キロだから、それらとあまり変わらない。

 快適に走れるとはいえ、流れに乗らないと邪魔になる。

 みな決して歩道は走らず、信号はしっかりと守る。なんだか日本で自転車で走っている時よりも、自動車を運転しているときの感覚に近い。

 途中で止まるときは前後左右をしっかりと確認した上で、手で合図をし、走り出すときは高速道路での車の合流のようにすっと入り込んだ。

 慣れてくると、少しは周りの景色を楽しむ余裕が出てきた。

 水辺には彩り豊かな建物が並ぶ。満員電車での通勤とは全く気分が異なる。すがすがしい。

 市街地にかかる川には、「自転車ヘビ」と名付けられた「自転車専用の橋」もあった。

 左右に曲線を描く白い優美な橋は、1日に1万7700台が通行するという。

 ゆるやかに勾配がつけられ、立ちこぎしなくても上ることができた。

 市内では、混雑回避や近道になるよう、06年以来、約20の自転車や歩行者のみが通れる橋がつくられたという。

 ただし、寒いのは寒いし、疲れることは疲れる。雨の日もある。なぜここまで自転車が多いのか。

 コペンハーゲンに長く住む通訳の森真由美さんによると、「車、特に高級車に乗ることがダサいと思われるようになっています」と背景を語る。

 実際に、1970年以降の市…

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この記事を書いた人
鈴木智之
科学みらい部|大阪駐在
専門・関心分野
科学、交通、難病