幻と消えたタイプAパビリオン 遅れる建設、万博参加国の苦悩とは
2025年大阪・関西万博では、各国が独自に設計・建設する「タイプA」パビリオンの遅れが大きな課題となっている。日本国際博覧会協会は今月中に開幕に間に合うか各国に確認し、工事の加速化を促す考えだが、思惑通り進むかは見通せない。建設遅れの背景には、何があるのか。
「幻のパビリオンになってしまった。今まで積み上げてきたものがなくなってしまうという喪失感を感じた」。アルメニア館の設計を担当していた建築家の遠藤秀平さん(64)はこう語る。
アルメニアは今月、タイプAの建設を断念し、協会の建物内に間借りしたスペースに出展する「タイプC」への変更を決めた。5月に起きた洪水被害の復興に予算を充てるためだという。
もともとパビリオンの建設は遅れ気味だった。
昨年11月、遠藤さんと契約を結んだものの、今年に入って万博担当の経済産業大臣が辞任。日本の建設会社と契約間近だったが、人手不足やコスト高などの理由で白紙になった。こうした困難を乗り越え、今月末にようやく着工するめどが立った矢先の変更だった。
揺れる「万博の華」、タイプ変更の背景にあるのは
参加国が自前で建設するタイプAパビリオンは、建物そのものが展示物で、各国が技術や創造性を発信する「万博の華」とも呼ばれます。しかし、タイプAを変更せざるを得ない国が相次いでいます。当初60カ国が出展を予定していましたが、19日時点で51カ国に。会場の特殊事情、万博協会の姿勢、世界的な物価高……。その背景を取材しました。
遠藤さんによると、建設業者…
【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら
2025大阪・関西万博
2025年4月13日に大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)が開幕しました。関連のニュースをまとめています。[もっと見る]