SL技術主任の奮闘努力 物言わぬ「生きた鉄の塊」の不具合探る

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細沢礼輝
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現場へ! 走れSL②

 年間70万人を集める京都鉄道博物館。本館から国重要文化財の扇形車庫に向かうデッキからは、SLの大規模メンテナンスを行う第2検修庫内を見下ろすことができる。解体検査時にボイラーをつり上げる60トンクレーンを備えた検修庫は、SLを動かせる状態で保存する「動態保存」の全国的拠点として、JR西日本が2015年に開設した。

 4月中旬、検修庫では大型連休中に「SLやまぐち号」として2年ぶりに復活する「D51形200号」が、新山口駅山口県)への移送を待っていた。ピストンの動きを動輪に伝える「主連棒」は取り外され、足回りの可動部は荒縄で縛って固定されている。移送途中に部品が摩耗することを防ぐ工夫だ。

 検修庫が属する梅小路運転区(京都市)で技術主任を務める堀田(ほりた)正広(60)は黒光りする巨体の周りをゆっくり歩きながら、各部の仕上がり具合を最終確認していた。荒縄の緩みに気付くと、若手社員を呼んだ。自分でやってみせ、いったんほどいてやり直させるがうまくいかない。「何で緩むのか考えてみろ」。何度もほどき、縛り直させる。

 結束バンドを使えば簡単なの…

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この記事を書いた人
細沢礼輝
東京社会部|鉄道担当
専門・関心分野
鉄道を中心とした運輸部門