台湾で学生運動をした若者、京都で元シールズメンバーらと語り合う

西崎啓太朗
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 2014年、台湾で若者たちが立法院(国会)を23日間にわたって占拠した「ひまわり学生運動」が起きた。若者たちは急進的な親中政策をとった当時の国民党政権に反対し、政策を撤回させた。

 あれから10年。運動にかかわった若者の中には、京都で研究に打ち込む人もいる。4月下旬、京都市左京区の京都大吉田キャンパスで、台湾の若者や沖縄出身の若者らが語り合う会が開かれた。

 会を主催したのは、京大教育学研究科の駒込武教授(61)の研究室と自主講座「認識台湾」実行委員会。ひまわり学生運動の中心メンバーに密着したドキュメンタリー映画「私たちの青春、台湾」を上映後、4人の若者が運動や映画をテーマに語った。

 4人は、台湾の大学に在籍中にひまわり学生運動を経験した京大大学院生の陳信仲(ちんしんちゅう)さん(32)と張彩薇(ちょうあやみ)さん(31)、沖縄県出身で一橋大大学院生の元山仁士郎さん(32)、京大生の村上日菜子さん(22)。

 元山さんは国際基督教大生だった15年、集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法案に反対し、国会前で抗議した学生団体SEALDs(シールズ)の元メンバー。台湾と日本の若者が同時期に運動を行ったという視点からも話し合った。

 陳さんは学生運動で行政院への突入を試みたが、警察に排除された。運動について「外形的には成功したが、現在の台湾の政治状況を考えると必ずしも楽観的に振り返ることはできない」と語る。陳さんたちの活動の後、学生運動や社会運動は求心力を失っていったと感じている。「断絶してしまった社会運動をいかに次の世代につなげられるかが重要になっている」

 張さんは学生運動の現場をほぼ毎日訪れ、立法院の外で座り込みを続けた。「今、自分にとっての民主主義とは何なのかを改めて考える時、私の脳内に浮かび上がったのは立法院の外に座り、たまたま隣にいた知らない人と話し合った記憶です」。運動と関係ないテーマも含めた「一見些末(さまつ)な内容の対話」が民主主義の根底にあると感じたという。「運動は自分の中では決して過去になっていない」

 一方で、運動では排外主義的な主張や男性中心的な表現も見られたという。「当時は運動の渦中にいて気付かなかった」と反省も口にした。

 元山さんは、シールズはひまわり学生運動も意識していたと振り返る。日本にも台湾にも自由や民主主義が破壊されてしまうのではないかという危機感があったとし、「選挙制度などで(自由や民主主義を)守ろうとする20~30代の動きが同時多発的に起きていたのは改めて興味深いことだと思う」と語った。

 村上さんは「ひまわり学生運動がこれだけ大きな運動になったのは、日本の学生としては純粋に驚きです」と話した。

 駒込教授は取材に「10年を経て、当時の台湾の若者が何を考えているかを知る機会にしたいと考えていた。ひまわり学生運動後の幻滅に向き合う過程が大切だし、10年という機会に語り合う意味もあったのでは」と答えた。

 今回の会は、台湾がテーマで、市民も参加できる自主講座「認識台湾 Renshi Taiwan」の一環。講座は昨年度から駒込教授が始め、台湾の政治学者を招いた講演会などを京大で開いてきた。

 今年度はクラウドファンディングで集めた寄付をもとに数回、講座を行う。次回は7月20日。沖縄・西表島の台湾人移民を描いたドキュメンタリー映画「緑の牢獄」を上映した後、感想などを語り合う。

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この記事を書いた人
西崎啓太朗
ネットワーク報道本部|大阪駐在
専門・関心分野
移民、難民、宗教、災害、中東地域