「痛いよ痛いよ」苦しさ訴えた亡き妻 大臣に伝える場で切れたマイク

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田中久稔

 「環境大臣として深くおわび申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」

 伊藤信太郎環境相は8日午後6時過ぎ、水俣病患者の支援拠点「水俣病センター相思社」(熊本県水俣市)を訪れ、室内で迎えた松崎重光さん(82)の前で直立し、頭を下げた。水俣病の犠牲者をまつる仏壇への焼香を願い出て、座布団に頭をつけた後、手を合わせた。

 1週間前。松崎さんは伊藤環境相と「懇談の場」で向かい合っていた。患者と認定されなかった被害者でつくる団体「水俣病患者連合」の副会長。「大臣が話を聴いてくれる」と知り、思いの丈をぶつけようとした。

 水俣市の北隣にある津奈木町で生まれ育った。実家が網元の妻悦子さんと結婚後は、夫婦で海に出て、魚を売り歩いた。自宅の食卓も常に魚であふれた。その魚が化学メーカー、チッソ(東京)が垂れ流したメチル水銀に汚染されていた。

練習して臨んだ懇談「母ちゃんの気持ちば、わかってもらわんば」

 若い頃から頭痛や耳鳴りなど…

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この記事を書いた人
田中久稔
西部報道センター|遠賀・中間・京築・水俣担当
専門・関心分野
水俣病、公害、自然災害、貧困、差別、軍事