民主主義の危機の源は古代ギリシャに トランプ現象で佐伯啓思さん

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佐伯啓思の異論のススメ・スペシャル

 米大統領選挙はまだ半年ばかり先であるが、すでに、トランプ現象が再来しつつあるようだ。再び現職の民主党バイデン大統領との対決になることが確実な情勢だ。

 すでに両候補ともに、「相手は民主主義を破壊する」といっているのが少し面白い。バイデン氏は、前回大統領選の結果を認めないトランプ氏に対し、民主主義の破壊者と批判し、一方トランプ氏は、バイデン氏側が、司法を政治的圧力として利用していると批判し、民主主義の破壊だという。

 前回の2020年の大統領選挙でも「民主主義」が争点となった。トランプ氏が表面に出てくると、常に「民主主義を守れ」といった言葉が飛び交うのは、まさにこの人物の特異なキャラクターのなせるところであろう。

 と、ひとまずいうことはできるが問題はそれほど単純ではない。いくら「民主主義の破壊者」と呼ばれても、トランプ氏はまったく意に介さず、様々な批判や司法的な嫌疑にもかかわらず「復活」してくる。この「トランプ現象」を前にすれば、改めて「民主主義とは何か」と問いたくもなってくる。

フェイクの霧のなかをさまよう政治

 私が関心をもつのは、「フェイク」と民主主義の関係である。

 「フェイク」とは捏造(ねつ…

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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2024年3月30日6時0分 投稿
    【視点】

    衆愚政治化したアテネの民主政は、非人道的ともいえるスパルタの軍事国家システムに敗れてしまった。そういった展開もなにやら21世紀にて観念的に「再現」されてしまいそうな予感があり、憂鬱だ。

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2024年3月30日7時16分 投稿
    【視点】

    なるほど…こうした問いかけをされると、こういう時代だから戦争だけは起こさないようにして、それぞれの国で国民をどう幸せにするかはそれぞれの国に任せればいいじゃないかという気持ちにもなってきます。しかしそうすると、我が国は素晴らしいのだとかあの

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