現役最古のSLがラストラン 2度の復活、100年超の歴史に幕
国産で現役最古の蒸気機関車が牽引(けんいん)するJR九州の観光列車「SL人吉」が23日、博多―熊本間を最終運行した。博多駅であった式典では大勢の鉄道愛好家らに見送られ、100年を超える歴史に幕を下ろした。
「ピィー」。SLは甲高い汽笛を響かせ、蒸気を噴き出しながら博多駅を発車した。ホームに詰めかけた人は「ありがとう」と声を上げ、手を振ったり写真に収めたりして別れを惜しんだ。
早朝から駆けつけた福岡市の会社員、猪狩文さん(56)は「ありがとう SL人吉」としたためた手作りボードを持参。涙をこぼし「力強く走る姿に元気をもらっていました。長く走ってくれた。『お疲れさま』と言いたいです」と話した。
ハチロクの愛称で親しまれた、この「8620形58654号機」は1922(大正11)年に製造され、75年まで客車や貨物を引っ張り九州一円を走った。その後、老朽化などで2度引退したが、他のSLから部品を調達するなどして2009年に「SL人吉」として熊本―人吉(熊本県)間で2度目の復活を遂げた。
20年7月の熊本豪雨で線路や鉄橋が被災し運休したが、翌年に熊本―鳥栖(佐賀県)間で運行を再開した。1987年の国鉄民営化以降、累計93万5千人を運んだ。
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