教員になった大学院生の奨学金、全額免除へ 文科省方針

久永隆一 山本知佳
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 優秀な人材に教員になってもらうため、文部科学省は19日、教職大学院を修了して正規教員に採用された人を対象に、大学院在学中に借りた日本学生支援機構奨学金の返済を全額免除する方針を固めた。公立校だけでなく国私立校に就職した場合も対象とする。2024年度の採用から適用するため、運用の詳細は早急に詰める。

 小中高校などの教員になった人への奨学金免除のあり方を検討してきた中央教育審議会(文科相の諮問機関)の教員養成部会がこの日、議論をまとめた。これを踏まえ、文科省は24年度採用に間に合うよう、優れた業績を残した院生向けの既存の返還免除制度を活用して対応する。そのため学部生時代の奨学金は対象にならない。

 同省は①教職大学院の修了者に加え、②教職以外の大学院修了者も対象として想定。②は「教育活動に関する実習経験があること」といった条件を満たす場合に返済免除とする方向だ。

 文科省によると、23年度の採用者数でみると、教職大学院から国公私立学校の正規教員に採用されたのは753人。教職以外の大学院を加えれば、年間1千数百人が対象になる見通しだ。

 一方、教員免許を取得して正規教員に採用された大学・短大の学部卒業者も免除とするかは今後の検討課題とする。23年度採用で1万4794人(公立のみ)と人数の規模が大きく、他の職種とのバランスも考慮する必要があるためだ。

 かつては教員になった学部卒業者、大学院修了者対象の返済免除制度があったが、04年度までに廃止された経緯がある。(久永隆一、山本知佳)

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    岩本菜々
    (NPO法人POSSE学生メンバー)
    2024年3月27日11時58分 投稿
    【解説】

    <金融ビジネスの論理が追求されるようになった奨学金制度 見直しの第一歩となるか?>  日本育英会(日本学生支援機構の前身)の奨学金制度は80年代まで、無利子での奨学金貸与+条件付きの返還免除という2つの軸によって運用されてきました。しかし

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