「在宅介護の終わりのはじまり」人手不足に拍車も 介護基本報酬減額

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編集委員・清川卓史 聞き手・関根慎一
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 「物価高に負けない賃上げに必要な報酬の改定率を決定した」。岸田文雄首相がこう強調する新年度介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに反発が広がっている。現場からは「在宅介護は崩壊する」との声も。

 「基本報酬引き下げは暴挙」

 認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」(上野千鶴子理事長)、NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」(樋口恵子理事長)など5団体は2月初め、引き下げに抗議し、撤回を求める緊急声明を公表した。2400を超す個人・団体から賛同を得た、としている。

 呼びかけ団体となった「ケア社会をつくる会」世話人の小島美里さんは公表時の記者会見で、「在宅介護の終わりのはじまり」と強い危機感を表明した。

 訪問介護員(ホームヘルパー)は介護が必要な高齢者宅で、調理など生活援助や身体介護を行う。介護福祉士や、所定の研修を修了した人らが務める。ヘルパーの人材不足はとりわけ深刻で「絶滅危惧種」とも言われる。有効求人倍率は15・53倍(2022年度)。若い世代が入らず、60代以上が約4割を占める。介護労働安定センターの介護労働実態調査(2022年度)によると、施設などの介護職員より年収が約17万円少ない。東京商工リサーチによると、23年の訪問介護事業者の倒産件数は67件で、調査開始以降の最多件数を大きく更新した。

 「訪問介護崩壊」の懸念が高まるなかでの減額改定。事業者や介護家族などからは、抗議の声が相次いでいる。

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