ウクライナの戦災がれき1千万トン 「8割再利用」の日本に処理学ぶ

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市野塊

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから24日で2年。いまだ終結は見えないが、破壊された建物から出たがれきの撤去に、災害復興の経験が豊富な日本の技術が生かせる可能性がある。1月末~2月上旬にウクライナからの視察団が来日し、がれき撤去の方法を学んだ。

 「この機械は何人で動かすのか」「何年動かせば初期投資の元が取れるのか」

 1月末、千葉県柏市の建設廃材処理会社「東京石油興業」の工場であった現場視察。ウクライナ政府や東部ハルキウ、南部ヘルソンなどでがれき処理にあたる職員たち8人から質問が矢継ぎ早に飛んだ。

 この会社はアスファルトやコンクリートを破砕し、リサイクルする事業を営む。政府の途上国援助(ODA)を通じ、この工場で使われているものと同じ、がれき処理に使うドイツ製の自走式の破砕機など9台が提供されている。職員たちはコンクリートを粉々にしたり、鉄筋などの金属を除去したりする様子に熱心に見入った。

 南部オデーサのロゾフ・アンドリイ経済開発部長は「今も毎日のように破壊が続いている。最先端の技術を使わなければウクライナの復興はできないだろう。日本の技術を学びたい」と話した。

 昨年12月に国連が発表した報告書によると、ウクライナの紛争により、140万戸以上が被害を受けたとみられ、被害額は500億ドル(約7兆5千億円)に上る。約1千万~1200万トンのがれきなどが出ると推定されている。

災害経験し知見持つ日本 東日本では8割リサイクル

 国際協力機構(JICA)は…

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この記事を書いた人
市野塊
国際報道部
専門・関心分野
気候変動・環境、医療、テクノロジー
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    服部倫卓
    (北海道大学教授=ロシア・東欧)
    2024年2月16日10時0分 投稿
    【視点】

    ウクライナは世界最大レベルの鉄鉱石資源を擁し、伝統的にそれを利用した鉄鋼業が営まれていた。しかし、技術や設備は後進的であり、環境負荷が高く、加工度・付加価値の低い製品を大量輸出するスタイルだった。これでは、脱炭素や欧州統合の課題を解決できな

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