職員研修に教育勅語「明らかに誤り」 広島市長に県弁護士会長が声明

柳川迅
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 広島市松井一実市長が、市の職員研修で戦前・戦中の「教育勅語」の一部を引用していることを受け、広島弁護士会(坂下宗生会長)は13日、「広島市長に対し、教育勅語の引用が誤りであったことを認め、引用することをやめるよう求める」とする会長声明を発表した。

 声明では、教育勅語が1948年の国会決議で失効していると指摘。国民主権に基づく憲法教育基本法に反するとして、憲法尊重擁護義務を負う公務員である市長が、公務員の研修に用いることを「明らかに誤り」とした。

 教育勅語が国民を戦争へ動員する思想統制に利用されたとして、市長が「評価してもよい部分があった」としたこと自体に大きな問題があるとし、「戦争の歴史、その背景を理解し、平和都市広島の市長としてふさわしい言動がなされるべきだ」と求めた。

 市内で記者会見した坂下会長は「今年度の研修でたまたま使ったのではなく、継続的に使っており、ショッキングな思いを抱く。相当な市長なりのこだわりがあると感じる」と話した。

 松井市長は市長に就任した翌年の2012年から毎年、講師を務める市の新規採用職員と新任課長級職員の研修で教育勅語の一節を引用している。昨年の新規採用職員研修の資料の「生きていく上での心の持ち方」と題した項目では、教育勅語から「爾(なんじ)臣民 兄弟(けいてい)に 友に」で始まる一節を掲載した。(柳川迅)

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    辻田真佐憲
    (評論家・近現代史研究者)
    2024年2月18日18時3分 投稿
    【視点】

    この記事について、SNS上で教育勅語の「十二徳」を示して、「教育勅語にはなんの問題もない。現在でも通用する」という論評が出回っているのでコメントします。 この「十二徳」とは、管見の限り、1973年に明治神宮社務所より刊行された『大御心

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