東北で雪不足 祭りやスキー大会中止も 平年以上の降雪は2地点のみ

古庄暢
[PR]

 東北地方で雪が少ない状態が続いている。青森県内の観光地でも雪にちなんだ祭りが中止や規模縮小に追い込まれ、ゲレンデの雪不足でスキー大会も中止になるなど、影響が出ている。仙台管区気象台によると、今後も冬型の気圧配置は弱く、東北では3月まで暖冬が続く見通しだという。

 気象庁によると、東北6県で累積降雪量の平年比を観測している全75地点のうち、昨年11月1日から今月6日までで、平年以上の降雪があったのは八戸(青森)と白河(福島)の2地点のみだった。

 青森の5地点、秋田5地点、岩手7地点、宮城4地点、山形8地点、福島5地点の計34地点では累積降雪量の平年比が50%を下回っていて、十和田(青森)で34%、本荘(秋田)で33%、遠野(岩手)は4%で、6県で最も低かった。

 仙台管区気象台によると、エルニーニョ現象のため偏西風が平年より北を流れていることなどが影響し、東北付近で寒気が南下しづらい状況が続いているのが要因だという。担当者は「北陸や山陰では積雪があるが、東北は記録的な暖冬になっている」と話す。

 観光地や各地のイベントにも影響が出ている。

 青森県弘前市では、弘前公園で開催される「弘前城雪灯籠(ゆきどうろう)まつり」(9~12日)で展示予定だった「HIROSAKI」の文字をかたどった雪のオブジェの制作が中止に。メイン会場に毎年設置している大型の雪の滑り台も、今年は2基から1基に減らす。

 市観光課によると、例年、きれいな雪を確保するために市内の山間部からトラックで雪を持ってきており、今年も約170台分を運び込んだ。今年は園内の雪が少ないため、それでも十分ではなく、オブジェや滑り台まで雪が回らなかったという。

 園内では市民や自衛隊が作った約150基の雪灯籠や雪像が展示される予定。担当者は「気温も高いので、雪灯籠や雪像が閉会日まで残るのか心配だ」。

 青森市では、3~4日に開催予定だった青森冬まつりが、名物の大型滑り台が制作できず中止になった。

 大鰐町でも、大鰐温泉スキー場で10日から開催予定だった国際スキー連盟公認の東北マスターズスキー大会の中止が決まった。

 県スキー連盟の高坂寿専務理事によると、国内外から約80人の選手が出場するはずだった。だが、ゲレンデの雪の深さが足りずにコースを示すポールの設置ができず、選手の安全確保のため中止にしたという。高坂専務理事は「自然頼みなのでやむを得ないが、コロナ禍の影響で昨年ようやく大会を再開したばかりだった。残念です」と語った。(古庄暢)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません