第5回始まりはオンラインゲームのトラブルだった 増え続けるネットいじめ
山本知佳 植松佳香
送られてきたのは、カタカナで書かれた、約20行にわたる何かの歌詞のようなものだった。
2022年3月、修了式を数日後に控えた平日の夜。当時、東京都区立中2年だった男子生徒は、学校で配られたタブレットで同級生の男子とチャットをしていた。
この同級生は続けて、カタカナの「歌詞」の日本語訳というものを送ってきた。「攻撃」「将軍様」。そういった単語が並んでいた。
さらに、こんなメッセージも送ってきた。
お前の故郷の国の歌を忘れるな――。
男子生徒の故郷が北朝鮮と言いたいようだった。
男子生徒の両親は韓国籍。本人も韓国籍だが、日本で生まれ育った。「俺生まれた場所千葉だが」と送ったが、「噓(うそ)は、いい」と返された。
チャットは男子生徒と同級生の2人しか見られない。明日になれば、また学校で顔を合わせる。無視すれば何をされるか分からない。半年以上前から、そんな恐怖にさいなまれていた。
生徒が受けたいじめの多くは、学校や家庭から見えづらい、学校からの帰り道やネット上で行われていました。
始まりは、はやりのオンライ…
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