脱炭素社会に向け、覚悟を持った政策を 原発は「ワン・オブ・ゼム」
◆原発の将来像 ④
岸田政権が、原発の新規建設や60年超運転を認めると盛り込んだ「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を閣議決定して1年。原子力・エネルギー政策をめぐる動向について、専門家に4回にわたって解説してもらいます。
日本は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを宣言している。実現のため、優先して取り組むべき政策は何か。原発推進が本当に役立つのか。鈴木達治郎・長崎大教授(原子力政策)に聞いた。
――日本が脱炭素社会をめざすには、何が必要ですか?
いまは炭素依存社会です。脱炭素社会をめざすのであれば、いまの経済社会構造を変えていかなければいけない。だから、単純で一番わかりやすいのが、炭素排出に価格を付けるカーボンプライシング。
それがまず第一で、もう一つは石炭火力を減らすための制度を真剣に考えること。そして、再生可能エネルギー、脱炭素電源の拡大のための政策を考えればよい。
――具体的にはどんな取り組みが考えられますか?
1973年に第1次石油危機が起き、脱石油をやろうとしたときに、日本は代替エネルギーとして原発導入を促すため、いわゆる電源3法をつくり、交付金制度を導入した。その特別会計制度が今も残っているのだが、直後の74年にあっという間に入れた。脱石油でそれだけのことをやったのだから、脱炭素もそれだけのことをやればいい。
例えば、今ある制度を残すのであれば、原発の交付金制度を、脱炭素電源交付金制度にかえて、再生エネにも交付金を付けてあげる。
――研究開発のあり方はいかがですか?
原発だけ特別扱い
日本原子力研究開発機構は日本脱炭素エネルギー技術研究開発機構にすべきだ。それぐらいの覚悟で脱炭素を考えていくべきだ。
いまやろうとしているカーボンニュートラルは、原子力だけの話ではない。脱炭素社会をめざすために何をしなければいけないかをリストアップしたときに、原子力はワン・オブ・ゼムにすぎない。脱炭素のためのエネルギー技術開発は国をあげてやりますという姿勢を示すべきときに、なぜ原子力だけ特別の研究開発の組織があるのか。
新エネルギー・産業技術総合…
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