松本人志さん報道で吉本興業、「事実は一切ない」→「確認進める」

滝沢文那 宮田裕介
[PR]

 お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志さん(60)から性的な行為を強要されたとする女性の証言を報じた週刊文春の記事を巡り、吉本興業は24日、公式サイトに声明を出し、当事者など関係者に聞き取りをし、事実確認を進めていることを明らかにした。同社はこれまで、記事について「当該事実は一切ない」などと反論していた。

 声明で吉本興業は、「私的行為とはいえ、所属タレントらがかかわったとされる会合に参加された複数の女性が精神的苦痛を被っていたとされる旨の記事に接し、真摯(しんし)に対応すべき問題であると認識している」と述べ、外部弁護士とともに当事者を含む関係者から聞き取り調査をしていることを公表した。

 また、同社が設置している社外有識者を交えた「ガバナンス委員会」が23日に開催されたことを報告。「事実確認をしっかり行った上で、何らかの形で会社としての説明責任を果たす必要がある」「当初の『当該事実は一切なく』との会社コメントが世間の誤解を招き、何を指しているのか不明確で混乱を招いた」といった指摘が出たことを明らかにした。同社によると、委員会は、昨年7月の組織整理などに伴って設置された。月1回定期開催されている。「忌憚(きたん)なくご意見をいただく」として、メンバーや協議過程は非公開という。

 調査結果の公表について同社は朝日新聞の取材に、松本さん個人が記事を巡り名誉毀損(きそん)による損害賠償を求める訴訟を起こしていることから、「訴訟の経過を見守りつつ判断する」と回答。調査の期限も設けていないとしている。また、朝日新聞は吉本興業に記者会見の開催を求めたが、「事実関係の確認を継続して行っているところであり、また、すでに訴訟で係争中の事案でもあることから、現時点で記者会見を開く予定はない」との回答があった。

 また、同社は昨年12月の時点では、記事について「当該事実はない」と反論していた。この点について同社は朝日新聞の取材に「その時点で確認できた事実を元にコメントしておりますが、ガバナンス委員会の指摘を受け、表現方法については今後慎重に対応してまいります」と回答した。当時「当該事実」が何を指していたのかについての回答はなかった。

 さらに、12月の時点では社として「法的措置を検討している」としていたが、現在松本さん個人での訴訟になっている。この点について同社は「事実確認を行いつつ、その結果に即して適切に対応していく」と述べるにとどめた。(滝沢文那、宮田裕介

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    松谷創一郎
    (ジャーナリスト)
    2024年1月26日13時46分 投稿
    【視点】

    吉本興業は完全に初動対応に誤ったという印象です。4年前に「闇営業」問題から派生した吉本興業のガバナンス問題(契約書の不徹底や組織文化)があったにもかかわらず、ガバナンス委員会からの指摘があるまで不明瞭な態度を取り続けていたことは、ちょっと驚

    …続きを読む