太陽光の売電収入、突然半減「えげつない」 九州の出力制御に悲鳴

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安田朋起
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 太陽光でつくった電気の受け入れを大手電力が一時的に止める「出力制御」が、今年は過去最大に膨らんでいる。九州では、月によっては収入が半減した人もいる。なぜ、こういう事態が起きているのか。

 熊本市東区で農業を営む春口豊徳さん(72)は7月下旬、九州電力から届いた明細書を見て目をむいた。

 太陽光発電の電気の買い取り額は例年並みの86万5616円だったが、半分以上の46万7280円が「出力制御分」として天引きされていた。

 8月の明細書でも半分近くが引かれていた。

 春口さんは2014年に、自分の農地に出力270キロワットの太陽光発電所を設置。国の固定価格買い取り制度(FIT)で電気を売ってきた。

 設置のため、金融機関から約9千万円を借り入れた。売電収入の半減で、月々のローン返済をまかなうことができなくなった。ほかにトラブルに備えた保険料や固定資産税などの支払いもあり、通年でも赤字になる可能性があるという。

 九電に「なぜこんなに天引きが多いのか」と電話したが、対応した事務員は要領の得ない説明を繰り返すばかりだった。

 「有無を言わさず一方的に売り上げの半分も持っていくなんて、やり方がえげつない。九電の人が逆の立場だったらどう思うのか」と憤りがおさまらない。

 春口さんのように、今年からいきなり大幅減収になった太陽光発電所は、九州で約6・6万件、計213万キロワット分も存在する。なぜこんなことになったのか。

■薄まるはずが過去最大に…

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この記事を書いた人
安田朋起
鹿児島総局長
専門・関心分野
再エネ、原発、環境、災害、持続可能性