「男」に変わった住民票取得 鈴木げんさん「記念すべき節目の一つ」

田中美保
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 トランスジェンダーの人たちの性別変更には生殖能力を失わせる手術が必要と定めた「性同一性障害特例法」の規定は憲法違反とした家事審判で、女性から男性への性別変更が認められた浜松市の鈴木げんさん(49)が7日、同市役所で、性別の表記が変更された住民票などを取得した。

 鈴木さんはこの日、市役所の窓口を訪れ、住民票と戸籍謄本の交付手続きを行った。住民票の性別欄が「男」と記載されているのを確認し、「多くの人にとって当たり前だったことが、僕にもやっと当たり前になった。その証明をいただいたのはうれしい。記念すべき節目の一つ」と話した。

 同行したパートナーの国井良子さん(51)は「(書類を)じっくり見てニコニコしているのは初めて」と語った。これまで鈴木さんは、性自認と異なる性別が記載されている住民票や保険証を見ると不機嫌になったり、窓口での交渉が煩わしく通院を嫌がったりしていたという。国井さんは「私も安心して付き添える」と笑顔で語った。

 審判は静岡家裁浜松支部が10月11日付で決定した。この間、鈴木さんのもとには「性別 男」と記載された新しい保険証も届いたという。新しい住民票をもとに、免許証などの手続きもしていく予定だ。

 鈴木さんの審判決定後、最高裁でも特例法の手術要件を違憲とする決定が出された。これを受け、国会で特例法改正の動きが進む。鈴木さんは「運動としてはまだまだ続く」とし、トランスジェンダーの仲間が暮らしやすい社会に向けて活動していく考えを示した。(田中美保)

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