「地域交通の議論早く」 JR西の広島支社長、再構築協に期待示す

柳川迅
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 JR芸備線の一部区間について存廃も含む協議をする「再構築協議会」へ沿線自治体が参加する意向を示したことを受け、JR西日本の広岡研二・広島支社長は29日の定例会見で「できるだけ早く議論を開始し、地域にふさわしい交通を議論できるようになればいい」と述べ、協議会の早期設置を期待する考えを示した。

 JR西日本は、芸備線の備後庄原駅(広島県庄原市)―備中神代駅(岡山県新見市)の区間を対象に、路線の存続やバスへの転換などを議論する再構築協議会を設置するよう10月に国に要請。今月27日、沿線自治体の広島県と庄原市、岡山県と新見市が国に参加する意向を回答した。

 JR西日本が28日に公表した利用者の少ないローカル線の2020~22年度の平均収支では、芸備線は19~21年度より赤字幅が縮小した。会見で広岡支社長は「輸送密度がわずかながら上昇しており、地域の方々の利用促進の取り組みがあるかと思う」と話した。

 一方で「収入がほとんどかわらず、経費の節減で収支が改善している。一度に多くのお客様を運ぶという鉄道輸送の特性を発揮するには数値が厳しいものがある」との認識を示した。その上で「もっと小回りがきくような交通モードであれば、お客様の利便性が高くなるのではないか」と述べ、再構築協議会での議論を期待した。(柳川迅)

 斉藤鉄夫国土交通相は11月28日の閣議後会見で、広島・岡山両県を走るJR芸備線の一部区間の存廃などを話し合う再構築協議会について「構成員など具体的な協議会のあり方について検討して、できるだけ早く設置したい」と語った。その上で、広島県側が求める広島市など沿線自治体の再構築協への参加についても、意向を聞く考えを明らかにした。

 再構築協をめぐっては、両県と広島県庄原市、岡山県新見市が27日、国交省側に参加の意向を回答。設置されれば全国初で、斉藤氏は「鉄道事業者と自治体が連携し、地域公共交通の利便性、持続可能性の向上を図るという法改正の趣旨を理解いただいた」と述べ、自治体の判断を歓迎した。

 広島県側が、再構築協に庄原市以外の沿線自治体を加えた広域的な議論を望んでいることについては、「県の調整を踏まえ、広島市や三次市安芸高田市への意見聴取を検討したい」などと語った。

 岡山県や新見市が再構築協への参加を受け入れる一方で、地元独自の法定協議会の活用を望んでいることについては、「再構築協議会で、国、地方自治体、事業者が危機感を共有しながら議論していく方が望ましい」と述べた。

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