LRT西側延伸 動き本格化

津布楽洋一
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 【栃木】宇都宮市を走る次世代型路面電車(LRT、愛称ライトライン)が、JR宇都宮駅東側で開業して3カ月。開業フィーバーの余韻が冷めやらぬなか、中心市街地がある駅西側への延伸をめぐる動きが、早くも本格化している。市はLRTが走る駅西側のまちづくりについて住民に考えてもらう体験会を開始。一方、一部の市民は延伸反対の陳情書を市議会に提出した。

 宇都宮市は駅東側地域にあったLRTの情報発信施設「交通未来都市うつのみやオープンスクエア」を10月から駅西口の「トナリエ宇都宮」内に移した。

 11月21日には西口に近い簗瀬地区の住民を対象にした「ライトライン体験会」を開いた。LRTに触れ、駅西側についての意見も出してもらおうという企画で、今回が初開催。自治会やまちづくり協議会の関係者ら15人程度が参加した。市側も住民側も積極的で、東側開業の熱を感じさせる行事となった。

 参加者はまずオープンスクエアで市の担当者からLRTの概要について説明を受け、JR宇都宮駅東口の停留場から乗車。宇都宮大学陽東キャンパス停留場で降りて、沿線の状況を見学した。意見交換会では「各停留場の見どころとなるスポットが少ない」「魅力向上や商店街活性化との連携を」などの意見が出された。

 体験会に参加した簗瀬地区連合自治会の栗原伸一会長は「宇都宮市は西側が本丸(古くからの中心市街地)。LRTも西側を通ってこそ、開通した証明になると思う。地域内交通を充実させれば、LRTに乗る機会は多くなる」と語った。

 市LRT協働広報室の安保雅仁室長は「西側への延伸を期待している方が多いという感じだった。住民の方々の声を聞きながら、東側で好評をいただいている勢いを、西側の延伸につなげていければ」と話していた。

 12月には錦地区の人たちを対象にした体験会を予定しており、今後も随時、開催していくという。市は2030年代の前半、駅西口側へ約5キロ延伸することを想定して検討を進めている。

     ◇

 LRTの計画段階から反対の姿勢を取り続けている市民団体「宇都宮市のLRTに反対し公共交通を考える会」(上田憲一代表)は21日、市西部への延伸などの撤回を求める陳情書を市議会に提出した。

 陳情書では、路線バスとLRTの乗り換えは不便で、LRTのレールによって車線が減るなどと主張。西への延伸を「瑕疵(かし)」と訴えている。

 考える会は市長にも撤回を求める要望署を提出している。上田代表は「宇都宮市は路線バスで発達してきた。これからは軌道(LRTのレール)の時代ではなく、自動運転の時代。開業フィーバーの余勢を駆って進めると、戻ることが難しくなる。市長には西への延伸を思いとどまっていただきたい」と話した。

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