「神父から繰り返し性暴力」 女性信者、修道会相手取り提訴へ
カトリック信者の女性が、外国人神父からの性被害を訴えたにもかかわらず適切な対応をとらなかったとして、神父が所属していたカトリック神言修道会(名古屋市)を相手取り、慰謝料として3千万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴することがわかった。
女性は東京在住の60代の看護師。女性や代理人の弁護士によると、女性は2012年、子どものころに受けた性暴力について、当時通っていた長崎市内の教会の外国人神父に対し、「告解(こっかい)(ゆるしの秘跡)」で打ち明けた。すると、神父から「やり直しをしなければダメだ」などと言われ、霊的指導として17年末ごろまで繰り返し性交を強いられたという。
相談窓口や神言修道会のトップである日本管区長に被害を伝えたところ、修道会は19年に「性犯罪を行い、貞潔の誓願を破ったと告発されていること」「彼の司祭としての行動は信者の間に嫌悪感を抱かせたこと」「将来スキャンダルを引き起こす可能性があること」を理由に聖職を停止し、共同生活から離れる3年の「院外生活」を決め、神父に100万円を渡して母国への帰国を認めた。
女性側は、調査は不十分で神父からの謝罪もないと主張。修道会が、その後再来日した神父の所在を把握していたにもかかわらず、女性側に伝えなかったなどと訴えている。神父については所在がわからないため、修道会のみを提訴する。
女性は性被害の影響で悩み、精神科に通院している。取材に「救いを求めた教会で被害に遭った。信仰心を利用したこうした被害が起こっていることを知ってほしい」。代理人を務める秋田一恵弁護士は「神父は告解を利用して彼女の重大な秘密を知り、それに乗じて性加害を繰り返した。修道会は性被害の事実と加害者を組織的に隠蔽(いんぺい)している」と語る。
修道会の荒田啓示事務局長は取材に「神父は性行為を否定していた。訴状の内容を確認してから対応したい」と話している。
■海外では被害の実態次々明ら…
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