「守れなくてごめん」 梨泰院に残された事故の記憶と10万超の付箋

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ソウル=太田成美

 ハロウィーンを前に集まった150人超が犠牲になったソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)で起きた雑踏事故で、市民や外国人らが思いをつづった付箋(ふせん)が累計10万枚を超えた。家族や友人への追悼の念、大切な命を救えなかった後悔――。発生から29日で1年。付箋を回収し、事故の記憶を引き継ぐ市民団体の活動が続いている。

 「あなたを忘れない」「安全な国をつくろう」

 事故が起きた狭い路地には今も、色とりどりの付箋が壁一面に貼られている。訪れた人が自由にメッセージを書き込めるよう、付箋やペンが用意されている。

 事故直後、多くの市民が現場を訪れ、自然とメッセージを残すようになった。だが、管理者がおらず、付箋のほか、供えられた花や食べ物などであふれかえった。地域の住民らが話し合って、現場を整理する作業が始まった。

 市民団体「文化連帯」は今年3月から作業を引き継いだ。特徴は、付箋に書かれた内容をアーカイブ化する活動にある。

 メンバーらが月2回ほど、時間がたった付箋を回収する。その日付ごとに台紙に貼り付け、乾燥剤を入れて保存。「故人へのメッセージ」「生存者」「外国語」などと内容に応じて分類する。これまでに回収した付箋は10万枚を超えるという。

 文化連帯の朴異現(パクイヒョン)さん(35)によると、最も多いと感じるメッセージは「守ってあげられなくてごめんなさい」「怖くて逃げてしまってごめんなさい」といった謝罪の言葉だ。

 なぜ犠牲者に謝るのか。「若…

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この記事を書いた人
太田成美
ソウル支局
専門・関心分野
朝鮮半島情勢、日韓関係、ジェンダー