心身を傷つけなくても、望む性で トランスジェンダー夫婦が語る痛み

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杉原里美

 「ただ生きるために、高額なお金もリスクも普通はかからない。私たちは、人生のスタートラインに立つための負担があまりにも大きい」

 兵庫県に住むトランス男性(40)とトランス女性(40)の夫婦は、互いの人生を振り返った。

 トランス男性の夫は32歳の時、国内の医療機関で手術を受けた。2004年に施行された性同一性障害特例法では、卵巣の摘出が性別変更に必要だった。

 小学校に入学する前から、「女子」としての自分に違和感があった。制服のスカートをはくのが毎日つらかった高校生の時、性同一性障害をテレビで初めて知った。「私のことだ」と思った。

 手術の費用は約140万円。ローンを組んで工面した。乳房と卵巣は別々の日に手術したほうがよいと聞いたが、同時にした。2回に分けるだけのお金がなかった。

 術後に目覚めると、腹部が激しく痛かった。数時間後、医師から信じられない言葉を告げられた。「胸が腫れている。今日中に、もう1回開きます」。胸と腹の間に液がたまり、炎症が起きていたという。再び手術するしかなかった。

 トランスジェンダーが戸籍上の性別を変えるのに、生殖能力を失わせる手術を必要とする「性同一性障害特例法」の要件が、憲法に違反するかが問われた家事審判で、最高裁大法廷が要件は「違憲」とする決定を出しました。心身の痛みに耐えて人生を進めてきた当事者とその家族は、決定を喜んでいます。

 術後は、全身が赤黒く変色し…

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この記事を書いた人
杉原里美
さいたま総局|県政・教育担当
専門・関心分野
家族政策、司法のジェンダー、少子社会、教育