米で世界初の核実験場を一般公開 オッペンハイマーで注目、被害今も

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トリニティ・サイト〈米ニューメキシコ州〉=中井大助

 第2次世界大戦中の1945年7月16日、世界初の核実験が行われた米南部ニューメキシコ州の「トリニティ・サイト」が21日、一般公開された。公開は毎年2回行われているが、今年は「原爆の父」と呼ばれるロバート・オッペンハイマーの伝記映画「オッペンハイマー」が米国で話題になったこともあり、特に多くの人が集まった。

 トリニティ・サイトでは、米国が原爆を開発した「マンハッタン計画」の一環として、長崎に投下されたのと同じプルトニウム型原爆の実験が行われた。現在は米陸軍のホワイトサンズ・ミサイル試験場の中にあり、通常は近づけないが、原則として春と秋に2回、公開されている。

 敷地には、原爆が起爆された「グラウンド・ゼロ」の場所を示す石碑などがあり、訪れた人たちが次々と記念撮影をしていた。テキサス州に住むデリック・ルトレルさん(31)は妻と、2歳と6カ月の子どもと一緒に来た。「原爆の誕生は世界に多くの恐怖をもたらしたという意味で複雑だ。だが、良くも悪くも歴史が起きた現場に立ち、子どもたちにも経験して欲しかった」と話した。

 映画「オッペンハイマー」では、トリニティ・サイトの実験が山場の一つだ。火の玉が大画面に映し出され、映画館には爆音が響く。ニューメキシコ州アルバカーキに住むエネディナ・ペレアさん(80)は子どもの頃から核実験の話を聞いていたが、トリニティ・サイトを訪れたことはなかった。だが、映画を見て、息子と一緒に行くと決めた。「もっとスケールの大きな場所を想像していた」と語り、「核実験による被害も忘れてはいけない」とつけ加えた。

周辺住民には事前通告なし 被害、今も続く

 この地が核実験場に選ばれた…

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この記事を書いた人
中井大助
アメリカ総局長
専門・関心分野
アメリカの社会、政治、文化