パレスチナ情勢 10月22日~25日(日本時間)にあったこと

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 イスラエルのエルダン国連大使が、国連のグテーレス事務総長に対し、イスラエルに大規模攻撃を仕掛けたイスラム組織ハマスによる「テロ行為を容認している」として、辞任を求めました。一方、ブリンケン米国務長官は国連安保理の会合で、人道支援物資をガザの人々に確実に届けるために戦闘の「人道的な一時停止」を考慮するよう訴えました。

【動画】日本の支援物資がガザに到着=ロイター

(タイムスタンプは日本時間、括弧内は現地時間)

■■■10月25日(日本時間)■■■

22:55(ニューヨーク09:55)

国連事務総長「テロを明確に非難してきた」 イスラエルの抗議受け弁明

 テロ行為を容認する発言をしたとしてイスラエルから辞任を要求された国連のグテーレス事務総長が25日、発言について弁明した。

 米ニューヨークの国連本部で「昨日の国連安全保障理事会での私の発言の一部について、まるでハマスのテロ行為を正当化したように誤解されたことにショックを受けている」と説明。「これは誤りだ。(真意は)逆だ」とし、イスラム組織ハマスによるテロ行為を明確に非難してきたことを強調した。そのうえで、「犠牲者やその遺族のことを考え、(発言について)事実を正しておく必要性がある」と、弁明した理由を説明した。

 グテーレス氏は24日の安保理で「ハマスによる攻撃は、空白の中で起きたものではないと認識することも重要だ。パレスチナの人々は56年間にわたり、苦しい占領下に置かれてきた」と発言。これにイスラエル側が強く反応し、エルダン国連大使は「テロ行為を容認している」としてグテーレス氏に辞任を求めていた。

21:03(ロンドン13:03)

英首相、議会で「停戦とは異なる戦闘の中断」を呼びかけ

 英国のスナク首相は25日の議会で、イスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突について「停戦とは異なる(戦闘の)中断が必要だ」と述べた。人質の解放や人道的支援を実現するための「より安全な環境」をつくるためだとしている。

 スナク氏が「中断」に言及するのはこれが初めてとみられる。PA通信によると、英首相官邸の報道官は記者団に対し、「全面的な停戦はハマスを利するだけだ」と説明。「人道的な(戦闘の)中断は一時的な、限定的なものであり、対応を取る上での手段になりうるものだ」と述べたという。

18:58(ニューヨーク05:58)

イスラエル大使、「国連関係者へのビザ発給拒否する」

 イスラエルのエルダン国連大使は25日、地元ラジオに「国連関係者へのビザ発給を拒否する」と語ったとAP通信などが伝えた。国連安全保障理事会での、グテーレス事務総長の発言に反発したものだという。

 グテーレス氏は24日の安保理会合で、「ハマスによる攻撃は、空白の中で起きたものではないと認識することも重要だ。パレスチナの人々は56年間にわたり、苦しい占領下に置かれてきた」と述べていた。

18:07(アンカラ12:07)

トルコ大統領がイスラエル訪問を中止 「ハマスはテロ組織ではない」

 トルコのエルドアン大統領は25日、イスラエルの訪問計画を中止にしたと明らかにし、「イスラエルという国にトルコは何の問題も抱えていないが、残虐行為は決して受け入れない」と述べた。アナトリア通信が伝えた。

 エルドアン氏は「(ロシアによるウクライナ侵攻で)立ち上がった国々は、ガザ地区で起きている虐殺には沈黙している」として暗に西側諸国を非難し、「偽善だ」と訴えた。

 一方、イスラエルを奇襲攻撃したイスラム組織ハマスについて、「テロ組織ではない。自らの土地と市民を守るために戦うムジャヒディン(イスラム戦士)の集団だ」と述べた。

 エルドアン氏は、長年にわたってパレスチナの立場に理解を示してきた一方、最近はイスラエルとの関係改善を進めていた。9月にあった国連総会の際にはイスラエルのネタニヤフ首相と会談して互いの国を訪問することで合意。しかし、今回の軍事衝突でガザ地区の犠牲者が増えるにつれ、エルドアン氏はイスラエルへの批判を強めていた。

16:10

ガザの病院爆発「イスラエル軍の攻撃ではない」 日本政府が見解

 イスラエル軍の空爆が続くパレスチナ自治区ガザ地区の病院で17日に起きた爆発について、外務省の小林麻紀外務報道官は25日の記者会見で「これまで確認した各種情報を十分に考慮し、総合的な判断として、イスラエル軍の攻撃によるものではないと考えている」との見解を示した。

 この爆発では、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルが双方を非難している。

 イスラエル軍は関与を否定し、ガザの武装組織によるロケット弾の誤射と主張し、バイデン米大統領も同様の見方を示している。日本政府の見解はこれらに沿った形だ。小林氏は「当事者の主張のみでの断定は困難」と述べたが、詳細は言及しなかった。

14:59(ダマスカス08:59)

シリアの軍事拠点が攻撃受ける 兵士8人死亡

 シリア国営メディアによると、シリア南西部の軍事拠点が攻撃を受け、シリア人の兵士8人が死亡、少なくとも7人が負傷した。同メディアは、攻撃はイスラエル軍によるものだと報じている。

14:20(ヨルダン川西岸08:20)

ジェニンでドローン攻撃3人死亡

 パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区北部のジェニン難民キャンプで夜間の急襲作戦中だったイスラエル軍が、パレスチナ人の武装集団から攻撃を受けたため、ドローン(無人機)で反撃した。ロイター通信が25日、イスラエル軍の発表として伝えた。

 ロイターはこの攻撃で3人のパレスチナ人が死亡し、20人以上がけがをしたとパレスチナ自治区の当局者の話として報じている。

13:02(ガザ07:02)

イスラエル軍空爆で700人以上死亡か

 AP通信によると、イスラエル軍が24日、パレスチナ自治区ガザ地区への空爆を激化させ、1日で700人以上のパレスチナ人が死亡したという。APが25日、ガザ保健省の発表として伝えた。イスラエル軍はこの日、400回もの空爆をおこなったといい、犠牲者の大半は女性と子どもだったという。

■地上侵攻の時期は「イスラエ…

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    藤田結子
    (社会学者)
    2023年10月23日8時33分 投稿
    【視点】

    インスタグラム、TikTok、Xなどのソーシャルメディアでは、ガザ地区の怪我した子どもたち、亡くなった子どもたちの遺体の映像や写真が大量に流れています。偽の情報や映像も送られてきます。 このようなソーシャルメディアの映像は、これらを見

    …続きを読む
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    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2023年10月26日0時30分 投稿
    【視点】

    「ハマスによる攻撃は、空白の中で起きたものではないと認識することも重要だ」「パレスチナの人々は苦しい占領下に置かれてきた」-これらがイスラエル側が問題視し、会談キャンセルの原因となったグテーレス事務総長の発言だが、こうした発言を「テロ容認」

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イスラエル・パレスチナ問題

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イスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルに大規模攻撃を行いました。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めました。最新のニュースや解説をお届けします。[もっと見る]