ウクライナの支援打ち切り トランプ主義者が望む理由 NYTコラム

ポール・クルーグマン

 9月末の米連邦政府の閉鎖は免れたが、数週間以内に再びこのドラマが繰り返されることになるかもしれない。ケビン・マッカーシー下院議長(共和党)は、党内の強硬派が実現可能なものに同意しないため、民主党の票がなければ可決されない「つなぎ予算」案を提出するという、当たり前のことをしただけだった。そして予算案には、共和党が要求していた歳出カットは含まれていなかった。ただひとつ、ウクライナ支援の除外というとんでもない一件を除いて。

 民主党がこの予算案に合意したのは、ウクライナ支援について別途採決が行われることを期待しているからだとみられる。バイデン大統領は、マッカーシー氏とその旨の合意に至ったと信じていると示唆した。私は彼らが正しいことを願っている。

 しかし、なぜこのような事態に至ったのだろうか。右派系だがトランプ元大統領派とは言えないアメリカン・エンタープライズ研究所のマイケル・ストレイン氏は、この財政的対立を(大人気ドラマを引用して)「『サインフェルド』閉鎖」、つまり「何の意味もない閉鎖」と呼んだ。

 これはいい表現だが、大衆文化を引き合いに出すのであれば、「めちゃくちゃ怒っている、もう我慢できない」と人々が叫ぶドラマの題名を取り、「ネットワーク」閉鎖と呼んだ方がいいかもしれない。

 この混乱した怒りを満足させることができるのはクーデターにほかならない。マッカーシー氏が、ウクライナを裏切るか、少なくとも裏切るふりをすることで、民主党との取引に対する反発を抑えることができると考えたのは明らかだ。トランプ元大統領の支持者らがウクライナへの裏切りを望んでいることははっきりしていた。しかし、なぜなのか?

支援反対派の主張は事実か

 イーロン・マスク氏のような…

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連載ニューヨーク・タイムズ コラムニストの眼

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