ガザ地区の停戦実現せず 国連安保理の決議案、米国が拒否権を行使

有料記事イスラエル・パレスチナ問題

ニューヨーク=遠田寛生
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 国連安全保障理事会は18日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突を受けて緊急会合を開き、10月の議長国ブラジルが提出した戦闘の「中断」を求める決議案を否決した。15カ国中、日本や中国など12カ国が賛成。採択に必要な賛成9票に届いたが、イスラエルを支持する常任理事国の米国が拒否権を行使した。

 ブラジル案には交渉を重ねて各理事国が歩み寄りやすい文言が並び、採択される期待もあった。

 人質解放や人道回廊を設けることに加え、16日に否決されたロシア案にはなく、米英仏が望んだハマスへの非難も入った。イスラエルの自衛権を強調する国への配慮から「停戦」という言葉ではなく「人道的な中断」を使った。

 しかし、米国は譲歩しなかった。トーマスグリーンフィールド国連大使は、武力攻撃を受けた場合に、自衛権を発動できるとする国連憲章第51条に触れ、「決議案にはイスラエルの自衛権についての言及がない。この表現も入るべきだった。だから我々は決議を支持できなかった」と述べた。また、「前に進めたいブラジルの熱意は伝わったが、外交を展開させる必要がある。特にバイデン米大統領やブリンケン米国務長官、国連のグテーレス事務総長らはいま、集中的な対話を行っている」と説明した。

 安保理が一致した対応を取れ…

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2023年10月19日11時15分 投稿
    【視点】

    国際的な常識に外れた行動をするのはロシアや中国だけでなく、米国もであることがよくわかります。米国政治に影響力を持つユダヤ民族の国家であるイスラエルをめぐっては特にそうです。  米国は、今回の事態はガザ地区を実効支配するハマスの大規模テロに

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