中身無事でも段ボール傷にクレーム…疲弊するドライバー 心配の矛先

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ライター・橋本愛喜=寄稿

ライター・橋本愛喜さん寄稿

 SNSでは時折、中身の商品が無事であるにもかかわらず、「宅配で届いた段ボールに傷が付いていた」とし、証拠画像をさらす投稿を見ることがある。

 先日もX(旧Twitter)で、「明らかに意図的に潰れてないかこの角。中身は無事だからいいけど配送業者手抜きしすぎだろ」などとつぶやいたアカウントが炎上。

 その文言と一緒に投稿されていた画像の段ボール箱は、底の角のうち一つがほんのわずか潰れただけだった。

 宅配はもちろん、スーパーでケース買いをする際など、荷物や商品の梱包(こんぽう)材としてよく使用される段ボール箱。

 その役割は、複数の商品や荷物をまとめて運ぶだけでなく、中の荷物を外圧から守ることにある。

 では、もしその段ボール箱にほんのわずかな傷が付いていたら、読者各位は宅配ドライバーや店に不満を抱いたりするだろうか。

 中身は無事だ。

 それでも段ボールの角が潰れていたり、こすれた跡があったりするだけで、SNSにその不満をさらしたりするだろうか。

 物流の現場には、中身は全く無傷であるにもかかわらず、こうした段ボールの傷によるクレームが横行し、なかにはその商品を丸ごと配送業者に買い取りさせるケースがある。

 元々社会問題を中心に執筆活動をしている筆者が、ここまで物流・運送を書き続けるようになったのは、彼らのブラックボックス化された労働環境のあまりの過酷さにある。

 今回は中でも理不尽な「段ボ…

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