【そもそも解説】「戦争犯罪」って何?誰が裁く? ハマスの場合は?
パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突をめぐり、民間人の殺害や拉致など、「戦争犯罪」と指摘される行為が相次いで報告されています。「戦争犯罪」はどう定義づけられ、誰によって裁かれるのでしょうか。国際法に詳しい立命館大の越智萌准教授に聞きました。
――そもそも戦争犯罪とは何でしょうか。
武力紛争に関する国際慣習法や1949年に締結されたジュネーブ諸条約などで定義される規則についての、「重大な(著しい)違反」行為を指します。また、戦争犯罪で裁かれるのは国家ではなく個人です。特定国の軍隊に所属する場合でも、民兵組織の戦闘員の場合でも、戦争犯罪に該当する行為をすれば個人として刑事責任を負います。
――例えばどのような行為が戦争犯罪になるのでしょうか。
包括的な定義がなされたと考えられている国際刑事裁判所(ICC)規程8条では、例えば以下のような行為を戦争犯罪としています。
・民間人(文民)や捕虜など保護されるべき対象への殺人、拷問
・恣意(しい)的な財産の破壊
・不法な追放、移送、拘禁
・民間人、民間施設(民用物)への意図的な攻撃
・毒ガスの使用
・性暴力
・民間人が生きるために不可欠な物品の剝奪(はくだつ)によって生じる飢餓の状態の意図的な利用
ハマスの行為は?
――ハマスとイスラエルの軍事衝突では、双方による民間人・民間施設への攻撃が報告されているほか、ハマスは民間人も拉致しています。また、イスラエル側はガザ地区を包囲し、電気や水道、食料の供給を停止すると発表しました。これらの行為は戦争犯罪に当たるのでしょうか。
まず、民間人を強制的に拘束…
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イスラエル・パレスチナ問題
イスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルに大規模攻撃を行いました。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めました。最新のニュースや解説をお届けします。[もっと見る]