第3回所持金100円、よぎった死 元ホストが「マジで救われた」居場所
市原研吾 矢島大輔
さまざまな事情を抱えた人びとが暮らす大阪市西成区の釜ケ崎。
「めざしてたわけじゃないけど、なぜかたどり着いた」
3階建てのシェアハウスの屋根裏で、男性(37)は語り始めた。
生活困窮者を支援する認定NPO法人「釜ケ崎支援機構」が昨年12月にオープンさせた若者向け施設だ。
北海道・函館生まれ。3歳で父が亡くなり、母がうつ病に。
児童養護施設に預けられ、18歳まで過ごした。自衛隊、函館と大阪・ミナミのホストクラブで働き、2度の離婚も経験した。
浪費、離婚、離職、深酒、生活苦、そして釜ケ崎へ。男性は自らの境遇について投げやりに言う。
「鉄板ルートですよ」
三重県の自動車工場に派遣社員として勤務していた2020年5月、コロナ禍で同僚が次々「派遣切り」にあう姿を見た。
「自分はそうなる前にとんだ」
10万円を握りしめて釜ケ崎にやってきた。1泊1500円程度の簡易宿所に泊まった。
それから約2週間。料金未納でスマホは使えない。頼る人もいない。お金も尽きてきた。
「山中で死のうと思った」
キャリーケースを引き、ひた…
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