ビッグモーターに会見を指南 社長がジャニーズ会見に抱いた違和感
故ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐってジャニーズ事務所が開いた記者会見で、会見を運営した「FTIコンサルティング」が特定の記者の「NG」リストを作っていたことが分かりました。危機管理広報のコンサル会社「エイレックス」社長の江良俊郎さんは「危機管理の実務家が採らない手法だ」と指摘します。
中古車販売大手ビッグモーターが保険金の不正請求の発覚後も沈黙を続け、批判を受けていた7月。その渦中に社長会見を指南することになった江良さんに、企業の謝罪会見が持つ意味を聞きました。
――ジャニーズ事務所の会見で、特定の記者の「NG」リストが作られていました。
とんでもないことです。記者会見の目的は責任ある組織として説明責任を示すことです。記者の選別なんて考えられません。
会見をためらう企業もありますが、私たち外部助言会社の仕事は「何が起きたのか、どこに問題があったのか、二度と起こさないためにどうするのかを説明する責任が影響力のある組織にはある」と企業を説得することです。
「NG」リストを作る行為は、不都合な質問をさせたくない、ダメージを最小化することが重要という考え方に映ります。
ビッグモーターとの違いは
――ジャニーズ事務所は「PR会社が作成した」と説明しました。
国内のPR会社と企業の広報担当者で構成される「日本パブリックリレーションズ協会」という組織があります。私は副理事長を務めていますが、「PR会社」のほとんどが真っ当な会社であり、そのようなリストを作成することはまずない、と申し上げておきたいと思います。「PR会社のNGリストの作成は一般的」との報道に、PR業界は大変迷惑しています。協会のホームページに緊急声明を出し、「中立・公平」など私たちの原則的な考え方への理解を求めています。
――ジャニーズの会見では質問が「一社一問」に制限され、追加の質問も禁止されました。
不正発覚後に会見を開くのが遅れ、内容でも批判を浴びたビッグモーター。急きょ会見を指南することになった江良さんに、ジャニーズ事務所の会見との違いを聞きました。
本来なら全ての質問に一人残…
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- 【視点】
江良社長がジャニーズ事務所の記者会見に抱いた違和感や疑問。私もそれに近いものを感じた記者の一人ですが、エイレックスが関与したビッグモーター(BM)の記者会見にも違和感を覚えたことを申し上げなければなりません。 足元で続く混乱、顧客離れや取
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