ノーベル経済学賞にゴールディン氏 男女の収入格差、原因を分析

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ベルリン=寺西和男

 スウェーデン王立科学アカデミーは9日、今年のノーベル経済学賞を、米ハーバード大のクラウディア・ゴールディン教授(77)に贈ると発表した。米国の200年以上にわたるデータを収集し、所得や雇用率の男女差の変化や、その背景を検証。男女の収入格差が生じる原因についての包括的な研究が評価された。

 経済学賞での女性の受賞者は3人目となる。12月10日にストックホルムで授与される。

 ゴールディン氏は、経済成長をすれば女性の就業率が高まるとの説に対して、19世紀に農耕社会から工業社会に向かう中で女性の労働市場への参加率が下がった点などを指摘。就業率は20世紀初めにサービス産業の拡大で再び伸び出した。20世紀の多くの期間にわたって、男女の収入格差が縮まらなかったことを明らかにし、その原因を掘り下げた。

 具体的には、避妊薬などの医…

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この記事を書いた人
寺西和男
ベルリン支局長
専門・関心分野
欧州の政治経済、金融、格差、ポピュリズム
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    山口慎太郎
    (東京大学大学院経済学研究科教授)
    2023年10月10日8時39分 投稿
    【解説】

    経済学、中でも労働経済学と呼ばれる分野において、男女間格差の分析は中心的なトピックになり、多くの研究者を引き付けているが(筆者もその一人だ)、その流れを作ったのがまさにゴールディン教授だ。 受賞理由にも挙げられているように、歴史的デー

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