覚醒剤使用の故意認めず「無罪」 証拠映像の破損も批判 東京地裁

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田中恭太
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 覚醒剤取締法違反(使用)の罪に問われた会社役員の男性(52)に対し、東京地裁(平出喜一裁判長)は3日、「故意に覚醒剤を使用したとは認められない」として、無罪(求刑懲役4年)とする判決を言い渡した。男性側の「覚醒剤が混入したペットボトルの水を意図せず飲んだ」との主張を、「うそと排斥するのは困難」と判断した。

 男性は2020年1月、警視庁に別の容疑でレンタカーの捜索を受けた際、覚醒剤が見つかって逮捕された。その後、尿検査で覚醒剤成分が検出され、使用の罪で起訴された。

被告「知人女性が注射器洗った」

 公判で男性側は「当日車に乗せた知人女性が、ペットボトルの水で使用済み注射器を洗ったことが原因だと思う」と説明。捜索時に警官から渡されたその水を飲んだため、尿から覚醒剤が検出されたと主張した。

 判決は、ペットボトルの飲み口についた唾液(だえき)のDNA型が男性と一致した一方、ボトル内の水には女性のDNA型の血液が含まれ、車内で見つかった注射器から検出されたDNA型と矛盾しないことなどから、男性側の主張を認めた。「一見あり得そうもない内容にも思えるが、それに沿う証拠も相応にあり、他に虚偽と認める証拠がない限り、排斥できない」と述べた。

 公判では警察官が「渡したペットボトルは未開封だった」と証言したが、判決は「車内が薄暗く、未開封だと誤解した可能性がある」として退けた。

地裁「警察官が真実を話していない」

 裁判では、警視庁が捜査の過程で男性の自宅前に設置した秘匿カメラの映像データが破損していた点も争点になった。

 弁護側は、男性の主張の真偽…

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