異例の早さでノーベル賞 mRNAワクチン、カギは「人類への貢献」

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瀬川茂子 東山正宜 佐々木凌 神宮司実玲
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 スウェーデンカロリンスカ研究所は2日、今年のノーベル生理学・医学賞を独ビオンテックのカタリン・カリコ氏(68)らに贈ると発表した。ノーベル賞の歴史の中でも異例のスピード授賞とされる。背景には何があるのか。

 ダイナマイトの発明で多大な富を築いたアルフレッド・ノーベルは、5分野で前年に人類へのもっとも大きな恩恵に貢献した人に贈る賞を創設するよう遺言を残した。分野の一つは「生理学または医学」で、最も重要な発見をした人に贈ると決めた。

 キーワードの「前年」「発見」「人類への貢献」を同時に満たすことは難しい。発見が論文として公開され、ほかの科学者に認められるまでには、時間がかかるのがふつうだからだ。今回のカリコ氏らの業績も、2005年前後の論文にさかのぼる。

 だが、成果が新型コロナウイルスワクチン開発につながったのは20年末。世界中で接種が進んだのは21年で、22年には変異株に対するワクチンも使われるようになった。「前年」も含めたこの数年で、人類への貢献が示された点でノーベルの遺言に沿っている。

 とはいえ、選考プロセスを考えると、異例のスピードだ。ノーベル賞候補の推薦は1月31日に締め切られる。候補となってすぐに受賞することはまれだ。有力な候補者は何年も続けて推薦され、慎重な評価が重ねられていくのが通常という。

 ノーベル財団が「まれ」なケ…

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