言ってはいけない「ストは迷惑」 英国在住の研究者が見た市民の態度
労働者が要求を実現するために労働を拒むストライキは、欧米では珍しくない行動です。ここ数年ストが頻発する英国で暮らしている社会福祉学者の堅田香緒里さんは、「ストで手に入れられるのは賃上げだけではない」と指摘します。話を聞きました。
私が今暮らしている英国では最近、10万人、時には数十万人という大規模なストが頻繁に起きています。背景にあるのは、急速なインフレによる「コスト・オブ・リビング・クライシス(生活費危機)」です。ストの結果、多くの労働者の賃金が上がっています。
バス運転手、空港職員、看護師、公務員など、労働者が一斉に労働を拒否する英国のストは、市民社会への影響も甚大です。公共交通機関が止まったり、クリスマスカードが届かなかったりすることに対し、人々に「迷惑」という感覚がないわけではありません。ですが、「スト、困るよね」と言った後で、「でもストは大事だよね」と付けなければならないような雰囲気が市民の中にあります。公的な態度として「ストは迷惑だ」と言ってはいけないという共通認識があるのです。
「家事労働に賃金を!」というスト
日本との大きな違いは、スト…
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