放射性物質の拡散予測、活用を 原発事故の避難で学術会議が見解公表
原発事故で住民を避難させる際、放射性物質の拡散方向を予測するシミュレーション情報を活用せよ――。日本学術会議の分科会がそんな見解をまとめた。
2011年3月に東京電力福島第一原発事故が起きた直後、放射性物質の広がりを予測するシステム「SPEEDI」は、住民の避難の判断に役立たなかった。次の事故が起こった場合には、原発の状況や空間線量の実測値などをもとに避難することになっている。
分科会の見解は、福島第一原発の事故後に拡散予測の精度は大きく向上したとして、拡散予測の情報と空間線量の実測値を「相補的に活用することが望ましい」と指摘している。
見解は9月26日付で公表された。気象などの専門家らでつくる日本学術会議の地球惑星科学社会貢献分科会が、原子力規制委員会や気象庁、原発の立地自治体に話を聞いてまとめた。
原発事故後に発足した規制委は14年、避難の判断にSPEEDIによる予測情報を使わないことを決定。避難に関する指針では、原発5キロ圏は電源喪失など事故の状況から避難すべきかどうかを判断し、5キロより遠い地域は空間線量の実測値をもとに判断するとしている。
予測使わぬ日本、「国際情勢からもかけ離れ」
一方、見解によると、国際原…
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