政治家に裏切られた子どもたち 米国で急増した貧困 NYTコラム

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ポール・クルーグマン

 私は長年、経済と政治について書く中で、怒りを抑えることを学んできた。政治家と政策立案者はしばしば、実に残酷な決断をし、正当な理由なく国益を損なう愚かな決断をする。そしてしょっちゅう、残酷であると同時に愚かな決断をする。そのたびに激怒していては疲れてしまう。

 しかし、米国の所得と貧困に関する最新の国勢調査報告書を見て、私は怒った。子どもの貧困が2021年と22年の間で2倍以上に増えているのだ。510万人もの子どもたちが悲惨な状況に追い込まれていることになる。貧しいということは米国では本当に悲惨なことなのだ。

 問題は、これは起こる必要はなかったということだ。貧しい子どもの急増は、インフレやその他のマクロ経済の問題によって引き起こされたわけではない。政治的な選択によって引き起こされたのだ。話は実にシンプルだ。共和党と一握りの保守的な民主党の政治家が、それまでの2年間で子どもの貧困を劇的に減らしてきた連邦政府のプログラムの延長を阻止したのだ。その結果、すべての成果が失われてしまった。

残酷で愚かな選択、子どもを貧しく

 その選択の残酷さは明らかだ…

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連載ニューヨーク・タイムズ コラムニストの眼

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