「負動産」放棄へ、動き始めた制度 「子どもに引き継ぐわけには…」

相続土地のわな 1

 山形県西部の日本海に面した人口約10万人の酒田市。江戸時代から北前船の寄港地として栄え、いまも定期コンテナ航路が中国や韓国と結ぶ。ところが中心部の商店街は寂れ、シャッターが下りた店が多い。そんな中心部にある空き地が今年6月、相続土地を放棄する「国庫帰属制度」で申請の対象になった。

 同制度は今年4月に始まった。親などから相続したものの持てあましている土地を、10年分の管理費相当の「負担金」を支払って国に引き取ってもらう。

 JR酒田駅にも市役所にも、歩いて10分余りの場所にある約80平方メートルの土地。所有する千葉県松戸市の池田一彦さん(66)は数年前、処分しやすいように空き家を取り壊した。道路に面しておらず家が建てられないため、隣接する5人の所有者に「譲りたい」と持ちかけてきた。だが維持費を前払いする提案までしたものの、引き受け手は現れなかった。

固定資産税80年分を払ってでも

 昨年秋、国庫帰属の制度ができることを知り、利用することにした。

 負担金は原則として土地1筆…

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