大学ファンドで研究力上がる? 東大・京大の落選を専門家が考えた
10兆円の大学ファンドから年数百億円もの多額支援を受けられる国際卓越研究大学の初めての選考で、東北大学が唯一、認定候補に選ばれた。なぜ東京大や京都大でなく、東北大だったのか、この制度は機能するのだろうか。科学技術や高等教育政策に詳しい小林信一・広島大特任教授(67)に聞いた。
――東大や京大ではなく、東北大が選ばれたことに多くの人が驚きました。
東北大と聞いて、なるほどなと感じた。以前から青葉山の新キャンパスの土地を活用しようと、次世代放射光施設や災害科学国際研究所をつくるなどし、産学連携でイノベーションを生み出す「サイエンスパーク構想」をもともと掲げてきたが、これは制度をつくった政府のねらい・方向性に沿っている。昔から寄付も一生懸命に集め、基金に積み立てていて、それをどう使おうかと考えていた。準備ができていたというか、ストーリーができていたという面があり、ほかの大学より優位だったのかなと思う。東日本大震災を経験し、資源の集中というか、研究分野・テーマの集中が自然と進んでいたこともある。
――ただし認定候補という位置づけで、今後、文部科学省の有識者会議(アドバイザリーボード)が大学の意欲や挑戦を後押しすると言っています。
アドバイザリーボードが「伴走する」というが、すごい介入をするという感じがする。認定を受けるのがいいのかどうか、悩ましい。必ずしも悪いことではないけれど、かなり特殊。
東北大も条件付きで認定という話で、ガバナンス体制の構築を求められているが、合議体を設置しなさいということだろう。ちょっと疑問がある。
――疑問といいますと?
海外では伴走するというのは…
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- 【視点】
小林氏によれば、大学ファンドは「設計がよくなく」、「リスキーで」、「よくわからない3%の事業成長」を求めて大学に「すごい介入」をし、「現場の構想力」を失わせる。 特定の大学にのみ資金を集中させ、学術の発展に不可欠な幅広い裾野や自由な研究を
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