山口市の伊藤和貴市長は11日の市議会一般質問で、同性カップルなどの関係を公的に認定する「パートナーシップ宣誓制度」について来年4月の導入を目指す考えを示した。同居を要件としないことや自治体間の相互連携を可能とするなど「当事者の実情に沿った内容になるよう整理した」と説明した。

 山口市が検討しているのは、パートナーシップを宣誓したカップルに対し、市が2人の関係を公的に認める制度。宣誓した2人で市営住宅への入居申し込みができる▽パートナーが入院したときに面会できる▽パートナーが病状説明を受ける際に同席できる、といったサービスや社会的配慮を受けやすくなる。一方、法的な効力はなく、相続権や扶養義務は生じない。

 制度の要綱の素案では、パートナーの同居を要件としないことも盛り込んだ。

 当事者団体が7月にパートナー制度の制定を要請した際、「同居要件」を外すよう求めていた。性的マイノリティーであることをカミングアウトせずに暮らす人も多く、不動産を貸す側の理解が進んでいないため、パートナーと同居しているとは限らないという実情があるという。

 また、同様の制度を導入している自治体との連携も図る。転居の際、あらためての宣誓・認定の必要をなくすなどのためだ。

 山口市は2021年にパートナー制度を導入した宇部市を参考にしてきたが、宇部市は同居要件があるため、今後の連携にあたって調整していく考え。

 山口市は、市人権施策推進審議会や市議会に素案を示しており、11月に市民から意見を募るパブリックコメントを実施する。その上で審議会に諮り、来年4月の施行を目指す。

 伊藤市長は一般質問の答弁で「市民一人ひとりが互いを尊重し、多様性を認め合いながら誰もが自分らしく活躍できる街づくりを目指して参りたい」と述べた。

 認定NPO法人虹色ダイバーシティによると、パートナーシップ制度は6月末時点で全国の300以上の自治体で導入されている。(山野拓郎)