濱口竜介監督の「悪は存在しない」に銀獅子賞 ベネチア国際映画祭

有料記事

ベネチア=編集委員・石飛徳樹
[PR]

 世界3大映画祭で最も歴史のある第80回ベネチア国際映画祭で9日(日本時間10日)、濱口竜介監督(44)の「悪は存在しない」が最高賞に次ぐ銀獅子賞(審査員大賞)に選ばれた。濱口監督は2021年にベルリンとカンヌで賞を得ており、わずか2年で3大映画祭の“グランドスラム”を成し遂げた。最高賞の金獅子賞は、ヨルゴス・ランティモス監督の英国映画「哀れなるものたち」が受賞した。

 審査員長のデイミアン・チャゼル監督が「アクハ、ソンザイシナイ」と読み上げると、濱口監督は主演の大美賀均さんとともに登壇。銀獅子をかたどったトロフィーを受け取り、「本当にありがとうございます。素晴らしい賞をいただけるというふうには、この企画が始まったころには全く考えていませんでした」などとスピーチした。

 「悪は存在しない」は人々が自然と共存しながら暮らす山あいの町に、観光施設の建設計画が持ち上がることで、町のバランスが崩れていくさまを描く。善と悪、都会と田舎、敵と味方など、現代社会に広がる二項対立的な発想を溶かしていく作品だ。前作「ドライブ・マイ・カー」で音楽を担当した石橋英子さんが自らのライブで流す映像を依頼したことが製作のきっかけで、一本の劇映画として実を結んだ。

 濱口監督は08年、東京芸術…

この記事は有料記事です。残り445文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら