「日本人称賛」言説の裏返しか 被災地で繰り返された外国人犯罪デマ

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編集委員・石橋英昭

 仙台市にある東北学院大で社会学を教える郭基煥(カク・キファン)教授(55)は、12年前の出来事を忘れない。

 学生を連れ、津波で被災した沿岸部に泥だしの支援に出かけたとき。ほかのボランティアの人から言われた。

 「外国人風の男が、遺体の指を切断し、指輪を盗んでいるらしい。巻き込まれないよう気をつけて」

 そうした被害事実は報じられていなかった。根拠のないうわさのようだった。

 郭さんは愛知県生まれの在日朝鮮人3世。100年前の関東大震災で「朝鮮人が井戸に毒を入れた」といった事実無根のデマが広がり、多数の虐殺を引き起こしたことを、いやでも想起した。

 一方で、東北の被災地では、国籍の別なく、市民が助け合い、互いを思いやる場面がいくつもあった。

 この落差はなんだろう――。

戦時下には「朝鮮人が食人」流言も

 こうした疑問から始めた研究…

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この記事を書いた人
石橋英昭
編集委員|仙台駐在
専門・関心分野
東日本大震災、在日外国人、戦争の記憶