世界ランキングは上なのに、国際卓越研究大学に京大が落選

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桜井林太郎

 世界トップクラスの研究力をめざす「国際卓越研究大学」の初の選考結果を1日、文部科学省が公表し、京都大は落選した。申請した10大学のうち、認定候補として選ばれたのは東北大だけで、東京大や大阪大も選に漏れた。

 国際卓越研究大学に認定されると、10兆円の大学ファンドから年数百億円という巨額支援を受けられる。

 京大は、①研究力強化のための研究組織改革と人材・研究環境への積極投資②研究成果の社会的価値化のための実行メカニズムの構築③自立的大学経営のための新しいガバナンスと実行体制の確立――の三つの構造改革をアピールした。

 審査を担った文科省の有識者会議は「(湊長博総長ら)執行部の変革への意志は高く評価できる」としつつも、責任関係や指示命令系統の明確化を求めた。文科省の担当者は「提案内容を実行できる体制か、研究現場を視察させていただいた。大学全体に浸透し推進できるかという意味では課題が多く見えた」と言う。

 といっても大学の総合力は東北大を上回っている。英教育誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションの最新の世界大学ランキングで、100位以内は東大(39位)と京大(68位)だけ。東北大はこの2大学に続く「201~250位」との位置づけだが、文科省は「これまでの実績や現時点の水準だけで判断しない」としている。

 ある京大関係者は「人への投…

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    市原麻衣子
    (一橋大学大学院法学研究科教授)
    2023年9月1日19時55分 投稿
    【提案】

    分かりやすいのは分かるのですが、こういうタイトルはもうやめてはどうかと思います。国際ランキングが高い大学だけが補助の対象になるのであれば、既存の社会構造を強化するだけとなり、変革は生まれにくくなります。先入観を破り、進化する組織や人をサポー

    …続きを読む