筑摩書房の刊行物2万点、ほぼ全冊読める 地方の図書館が誇る収蔵力
創業80年あまりの歴史を持つ老舗出版社、「筑摩書房」(東京都台東区)がこれまでに刊行した書籍類は延べ2万点超。そのほぼ全てを収蔵する市立図書館が長野県内にある。史料価値の高い貴重な絶版本も多数収蔵され、多くの研究者や愛好家が訪れる。人口7万人弱の地方都市の公立図書館に、なぜこれほどのコレクションが集まっているのか。
「人間失格」の初版も閉架で収蔵
長野県中部に位置する塩尻市の市立図書館は、延べ2万点を超える筑摩書房の刊行物のうち1万9735点を収蔵する。筑摩書房が得意としてきた文庫や新書、文学全集などは実際に手に取ることができる開架図書として、広く市民らに貸し出されている。
筑摩書房によって1946年に創刊され、一時の休刊を経て78年まで刊行された雑誌「展望」をはじめ、史料としての価値も高い絶版本などは閉架で保管する。希望者は閲覧が可能だが、本によっては閲覧に職員の立ち会いが必要だ。
「展望」には太宰治の代表作「人間失格」が連載されたこともある。また、同社が48年に刊行した単行本「人間失格」の初版も閉架で収蔵。上條史生館長は「国内の図書館で、筑摩書房の刊行物をこれだけそろえているのは塩尻市立図書館くらいだろう」と胸を張る。
謎解きの鍵は創業者のルーツに
塩尻市立図書館は66年、県…
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- 【視点】
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